人生の楽しみを守るには

高齢者のQOL(生活の質)低下は、人生の楽しみである普段の食事やコミュニケーション、外出などの活動に支障が出てしまうことを指します。このような状態が長期にわたって続いてしまうと、食事量の減少や外出するのが億劫になるので、食べる楽しみやおしゃべりが減って、精神的に不安定になることや、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)になりやすくなります。

介護施設に入所する高齢者は、自分で生活管理を行えないケースも多いので、介護職員がしっかりサポートする必要があります。食事量の減少に関しては、口腔ケア不足によって発生する可能性があることから、毎食後の歯磨きの徹底や噛み合わせが悪くならないように、入歯と義歯の管理を行うことが大切です。唾液の分泌を促すことは、虫歯防止に繋がってQOL向上に大事なので、1日1回程度はご飯に梅干しを混ぜたり、酢の物を副菜に導入するのが重要と言えます。それに加えて、柔らかい食品ばかりでは咀嚼能力が衰えてしまうことから、雑穀米や玄米を主食に使うのもいいでしょう。

口腔内のケア不足で起こりがちなのが、飲食物を飲み込む能力(嚥下)が衰えることによって発生する誤嚥性肺炎です。誤嚥性肺炎は、重篤になってしまうと固形食がほとんど食べられなくなり、流動食メインになることもある恐ろしい病気です。誤嚥を防ぐ為には、利用者の介護度や歯の状態に合った食材に切り刻むことが重要で、介護スタッフは毎回の調理に気を遣わなければなりません。